八咫烏絵図縁起

熊野本宮大社奉納
八咫烏絵図縁起
平成十四年八月

古事記に、天孫降臨神話として神倭伊波礼毘古命(神武天皇)が海を渡り、天上から遣わされた八咫烏の導きで熊野から吉野へ向かわれたとある。 これは、海の彼方の常世国から穀神が熊野に現れるという信仰や、また熊野が根の国や常世国に直結する地と考えられていた為と思われる。常世国とは、海の彼方にあるとされる永遠の世界で全ての命の源であり、穀物も常世国から齎されると言われている。 古来、日本は日の上がる東方と日の沈む西方を神々のいらっしゃる場所として意識していたと思われ、日神天照大御神の使者の八咫烏が天つ神の御子である神武天皇の東征の先導をしたのである。 日神の使者である八咫鳥は日を背中に負っているといわれている。またその姿は、足が三本であるとされる。 三という数は、熊野本宮大社の御祭神の家津美御子大神(須佐之男命)の御神徳である天、地、人、または智、仁、勇を表している。 陽数の三は、日の照りの恵みと豊かな実りを齎す。 夏の日照が豊かな秋へと順調に回る事を祈願し、八咫烏絵図を熊野の神様の許に御納め致します。

button